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専門機関受診体験記
  こころが疲れているのかな?と感じたとき、専門機関があるのは知っているけど、心療内科ってどんなところ?
カウンセリングってどんなことするの?こんなことぐらいで受診していいの?
「行ってみたいけど、ちょっと不安」
そんなあなたに、体験談をご紹介します。

太白区 Aさん(仮名)
初めての出産を終え、訳もわからず悪戦苦闘の日々。
しかしそうした「サイクル」に一通り慣れた頃、それは突然やってきた。

「せっかく子どもが寝ているのだから、今のうちに本を読もう!」
読みたかった本を開く。あんなに読みたかったはずなのに、2・3ページ以降進まない。
「あれ?どうしたんだろう?やっぱり疲れているのかな・・」
集中できないのは気のせいと思いながら、さほど深くも考えなかった。

しかし、同じようなことは本に限らずテレビやビデオでも同じ。まるっきり頭に入ってこないのだ。
前のように楽しめない。集中できない。
そのうち家事も苦痛になってきた。
「私は育休中で家にいるのだから、家事育児はちゃんとしなければ・・」
勝手に自分を追い込んでいった。

「ちゃんとしなければ」なんて、今まで考えなかったことだ。
子どもの世話も、取り付かれたようにやっていた。そして異常に時計ばかり気にしていた。
時計を見ては「あぁ、今日も何ひとつ満足にできなかった・・」そう思った。

そんな生活をしばらく続けるうちに、子どもが寝ていると涙が出るようになってしまった。
「育児が辛いわけではない・・」
自分に必死に言い聞かせる。

じゃぁ何で涙が出るんだろう?私は何が悲しいんだろう?
大好きな人と結婚して、仕事もあって、新しい家に引越して、子どもが産まれて・・
幸せじゃないのか?何で私は喜べないんだろう?喜べない私は愚かな人間だ、母親として失格
こんな母で娘がかわいそう、娘が自分のようになったらどうしよう・・?

酷いマイナス思考はぐるぐると渦巻いていく。
行き着くところはとにかく「自分が嫌い」「自分は最低の人間」「母・妻の資格なし」
そんなことばかりだった。

どうにかこの思考から抜け出したい一心で、前向きになれそうな本を読んでみたりするが
一向に頭に入らないし、気分転換する気力もなかった。

夫は優しく、いろいろと励ましてくれた。それがまた罪悪感を増す。
夫以外の誰かに相談したい・・。誰に相談すればいいんだろう?
病院へ行きたい。でも預けられない。母乳はやめたくない。薬は飲みたくない。

産後、折り合いの悪かった実家の母には相談する気もさらさらなかった。
ママ友といったら同じ産院の子たちで、皆一生懸命やっている。こんな情けないこと言えない。
仕事バリバリの独身の友達に相談する気にもなれない。

できれば私のことを知らない人がいい・・。
手始めに電話でのカウンセリングを試みた。
うまく話すこともできなかったので、自分が求めるような答えは返ってこなかったが、
聞いてもらえるということは有難かった。

実際のカウンセリングに行ってみよう。そう思ってネットで検索をしてみる。
「カウンセリング重視」とあった1件の心療内科を見つける。しかも家から近い。
藁にもすがる思いだった私は、夫に相談し行ってみることにした。
夫には最初反対された。カウンセリングならと、何とか承諾してくれた。
自分の妻が神経科・精神科に行くということに、抵抗があったのだろう。

外観は小奇麗な建物だった。中に入ると空気は重苦く感じられた。
同じ辛さを抱えた患者さんなんだろうか・・?
自分と似た年齢の方もいたので少し安心する。

簡単な問診票を出し、しばらく待って私は呼ばれた。
ちょっと怖そうな先生に見えた。
私は症状を話し、カウンセリングを受けたいと申し出ると
「あんたはカウンセリングじゃない、薬!」
唐突に言われ面食らってしまった。
「私はうつなんでしょうか?」
先生は私の問いには答えてくれない。とにかく薬を飲めの一点張りだった。

家に帰ってネットでもらった薬を調べてみる。「抗鬱剤」と出てきた。
「やっぱり私はうつだったんだ・・」
余計落ち込んだ。
夫は「行って余計酷くなったんじゃないか?」
だから言わんこっちゃない、そんな様子だった。

もらった薬を試しに飲んでみたが、医者への不信感もあってか?さっぱり効果
は感じられなかった。
その後、私がその病院へ行くことはなかった。

後になってわかったのだが、こういった薬は効き始めるまでに一定の
期間が必要なようで、1週間分すら半信半疑できちんと飲まなかった私には
効くはずもなかった。
また、カウンセリングも辛い体験など自分を掘り起こす作業が多いので、
ある程度気力体力が必要なようだった。状態が悪いときは避けた方が良い
かもしれない。
だとしても、病名を含めそういうことを、きちんと説明して欲しかった。

それから不安定な日を過ごしつつ、育休明けで復職するが、娘の通院が多かったことや
夫の長期出張が増えてきたため1年で退職。
保育園の先生にはだいぶ助けられた。
「ママ、頑張りすぎないでね」
連絡帳には子どもの様子はもちろん、私への励ましの言葉もたくさん頂いた。
1年ちょっとだったが、良い保育園にめぐり逢えたことは幸運だった。

退職後、無力感に襲われた私は再度病院へ行くこととなった。
されまでに大分メンタルに関する本を読み漁った私は「産後の二の舞は嫌だ!」と、
とにかく早いうちに病院へ行こうと思った。夫はもう反対はしなかった。

二度目の病院は友人から薦められた病院で、心療内科ではなく精神科だった。
友人からということで、行くことに不安はなかった。

他人になかなか話せないと思いこんでいたが、思いきって話してみると意外にも
病院を薦められたり、内科で安定剤を処方してもらっている友人もいた。
自分で抱えこまず、もっと心を開けばよかった・・。
(でも、心を開けなくなる病気でもあるから、これまたやっかいなところである・・)

先生は丁寧に話を聞いてくれ、副作用の少ない抗鬱剤と抗不安薬を処方してくれた。
「軽症のうつですね。仕事・家事・育児という大変忙しかった生活が終わって、大きな
荷物を下ろしたような状態になっているんですよ」

ホっとした。病名もわかったし、何より「これでちゃんと治せる!」
そう思うと嬉しかった。
しばらくきちんと薬を飲み、2週間ごとに先生に経過を話す。
薬は私には合ったようで、1ヶ月もするとだいぶ楽になり、気力もわいてきた。
産後の時のような、酷いマイナスのぐるぐる思考にも陥ることもなかった。
「あぁ、やっぱりあの時は病気だったんだなぁ・・」

心のサインは「おかしいな?」と気づいた時点で、思い切って病院へ行ってみると
軽いうちに対処できる。
また、自分に合う先生が見つかるまで、複数の病院へ行ってもいいと思う。

心療内科や精神科の敷居は行ってみると、思ったほど高くない。
風邪をひいたら病院へ行くのと同じように、心の風邪もまた同じだ。

素材提供:Night on the Planet
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